何故熟年離婚率が伸びているのか?

近年、熟年離婚は増加の一途をたどっています。数字の上では結婚20年以上の継続後の離婚件数は年間4万件以上(2003年)で全離婚件数のおよそ20%弱となっています。しかもこの熟年離婚件数の増加はほんの数年前から始まった現象なのです。

熟年離婚とは一般に結婚20年目以降に離婚する事を言いますが、一方で子供の養育を終えた後に離婚する事を言うという考え方もあります、単に夫や妻の年齢によって分類されるものではありませんので、中高年同士が結婚して、また直ぐに離婚したとしても、熟年離婚として分析する対象にはあてはまらないと考えてください。(リコナビ的見解も含む)

何故熟年離婚率が伸びているのか? 熟年離婚率が伸びている要素としては様々な理由が考えられます。

●核家族化
核家族化を浸透される一つの理由に嫁姑問題に代表される、嫁の問題があったと想像できます。近代まで嫁は夫の家族に入るというニュアンスが強く、表現を変えれば「貰われる」という夫と比較してその存在は決して対等なものではありませんでした。

家族として迎え入れられてからもその家ごとのしきたりを強要される事は当たり前で、現代の家事分担や育児分担等、想像すら出来ない時代でした。

その後、団塊の世代が上京等で次々と核家族を形成し、それにより、新しい生活様式やしきたりを形成し、家制度的なルールもおのずと薄れ、それらは家父長制度を受け継ぐ家に嫁いだ妻達の目には羨ましいものに写りました。それがさらに核家族化を浸透させた事は言うまでもありません。

●結婚観の変化(離婚感の変化)
現代の結婚感や離婚感というものは当サイトが存在している事でもお分かりいただけると思いますが日々変化しています。離婚に対する抵抗感が無い若い世代の考えが浸透し始め、熟年層に及んだという事も考えられますが、結婚感は近代までの家制度とも密接な関係にあります。(家制度には嫁姑問題のページでも触れています。)

その家制度を支える歴史的.生物学的一つの見解としてという注釈付きで解説させていただきますが、妊娠から出産にいたる経緯でそのコストは女性が負う事になりますので、出産後、育児放棄によって子供が死亡すると無駄なコストは女性のみが負う形になる。それを回避する為、女性は育児というコストをも続けて負うことになる。

よって、女性は十数年間その労力の大半を育児に費やす事になり、自然に自分自身を誰かに養って貰うこと(また主従的関係を結ぶ事)を余儀なくされ、それにより、家父長制という概念が生まれ、浸透した。

家父長制度は家制度として浸透し、日本において現代でも根強く残っています。ですが、この家制度が核家族化などにより、受け継がれなくなって来た事から離婚に対する抵抗が減少したとも考えられます。

●離婚への抵抗感
離婚への抵抗感を薄れされる要素としても核家族化は存在しています。

親と子が共に暮らす、一般的な核家族において、子が家を出て、さらに核家族を形成した場合、親、つまり夫と妻それぞれの時間の費やし方はそれぞれの判断で行えるようになります。それぞれの時間の過ごし方により迷惑や影響を及ぼす相手がパートナーのみになり、結婚後初めて責任という要素から開放されることで、改めて自分の人生を振り返るという方は少なくありません。「離婚しても困るのは子でも親でもなく夫だけ、ならば別れて改めて自分の人生を生きよう」と。

熟年離婚の回避案として
回避する事が幸福か幸福ではないか?にもよりますが、離婚を回避する事を前提とするならば妻も夫も自分の人生を楽しむよう、努める事ではないでしょうか?
また、パートナーがパートナー自身の人生を楽しんでいるかどうか?という点に関心を持つ事ではないでしょうか?労いの言葉だけで取り戻せる時間など存在しない。という事を覚えておくことが肝心なようです。

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